日本超音波医学会
第47回北海道地方会学術集会


お問合せQ&A集

Q-01:山田 聡先生 ホームページを拝見しました。

すばらしい試みですね。
学会もルーチン業務化+単位取得目的になりがちですね。是非とも学会の活性化という点で良い先例を作って頂ければ、後に続く者にとっても励みになると思います。
ご盛会をお祈りしております。

東京大学医学部附属病院 検査部・循環器内科 大門雅夫

A-01:大門先生へ

温かい言葉をどうもありがとうございます。
以前心エコーを用いた研究をされていて今は救急科の教官になっているある先生に、「最近、救急領域の経胸壁心エコーの教育が不十分です。麻酔科では経食道心エコーの資格のみがあるので、経胸壁心エコーの教育をできる医師が不足しています。若い医師には勉強したい人がたくさんいるのに、日本超音波医学会や日本心エコー図学会は敷居が高すぎて、参加する気になれないようです。もっと気楽にそこをターゲットにした資格を作って教育をすべきです」と言われました。「お前ら、敷居が高いぞ」と言われたわけですが、考えさせられました。
地方会学術集会では、自分にできることをやってみようと思います。

北海道大学循環病態内科学 山田 聡

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たしかにそうですね。
以前内科学会でハンズオンセミナ-をしたら、循環器以外の(腎臓内科、血液内科、一般開業医などの)先生で一杯になりました。
やはり超音波医学会などは敷居が高い(話を聞いてもよくわからない)ということのようです。
心エコーの技術的進歩はもちろん大事ですが、こうした裾野も考えた方がよいのかもしれませんね。

東京大学医学部附属病院 検査部・循環器内科 大門雅夫

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皆さんは、救急領域の経胸壁心エコー検査の活用や教育について、どのようにお考えでしょうか?


Q-02:すばらしい特別企画です。

日頃気になっていた所で、直球のストライクを投げていただき感謝致します。限りある検査時間(短時間)内に、漏れがなく最大の成果が出て、冗長にならないルーチン(標準化プロトコール)を皆様の力を結集して提言していただければ有り難いです。

済生会熊本病院 西上和宏

A-02: 西上和宏先生へ

どうもありがとうございます。
条件の異なる数多くの病院・医院がございますので、さまざまな職場で働く多くの検者に参集していただき、シンポジウムで実りある議論ができればよいと考えております。
救急部の状況など、またお教えいただければ幸いです。

北海道大学循環病態内科学 山田 聡

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救急に関しては、point-of-care超音波にも言及していただければ有り難いです。
私も本を出していますので、みていただければ幸いです。

済生会熊本病院 西上和宏


Q-03:救急領域での心エコー

FASTをはじめとした救急領域でのエコーの有用性は言うまでもありませんが、集中治療領域では最近POCUS(point of care ultrasonography)という目的臓器別の聴診器代わりのようなエコーの概念がひろまりつつあります。研修医のモチベーションのためにも、学会員の増加のためにもなにかしらの資格があればよいと考えております。それぞれのエコー領域でのminimum requirementをdiscussionする場ができるのを期待しております。

旭川医大救命救急センター 岡田 基

A-03: 岡田 基先生へ

重要なご指摘をどうもありがとうございます。
すでに2時間の『領域横断シンポジウム:超音波診断の施設間と年代間での標準化をどう進めるか?』が、内容と演者まで確定しています。こちらでは“標準化”のための模索をテーマにいたしますので、そこに加えるのは困難だろうと思います。また、「それぞれのエコー領域で…」というご意見ですが、上記のシンポジウムに重ねてもうひとつ“領域横断の企画”を置くのも無理だろうと思います。
しかし、本日3月6日現在で、3つの共催セッションが内定しました。(1)循環器領域ランチョンセミナー、(2)消化器領域ランチョンセミナー、(3)循環器領域アフタヌーンセミナーです。これらの内容はこれから詰めますので、(1)や(3)に先生がご指摘された内容をとり込めないか検討いたします。それが無理ならば、第2・第3会場を使用した別のセッションを企画することも可能と思われます。
そのような企画により、いつもは本学会に足を運ぶことのない救急領域や一般内科・外科の先生方が参加していただけるのであれば、たいへん価値が高いと考えます。

北海道大学循環病態内科学 山田 聡


Q-04:函館渡辺病院の水関 清様からコメントが届きました。

超音波医学会第47回北海道地方会にむけて、大会長の山田先生の超音波検査の普及にかける情熱に満ちたEditorialが掲載されました。その中で、山田先生は普遍性について3つの観点から考察されております。「検査機会と検査者の普遍性が高い(1)」、「地域においてもまた、検査の機会と検査者が高度に普遍化している(2)」、「対象領域の高度の普遍化(3)」の3つです。
決して言葉遊びをするつもりはありませんが、筆者には、(1)は「検査担当者間の垣根が低い」、(2)は「幅広く普及している」、(3)は「適用領域と想定される対象疾患をあらかじめしぼり込んだ上で初学者にも一定の成果を求め得る教育のあり方」と説明していただく方が腑に落ちますが、いかがでしょうか。そもそも「普遍(universality)」には、ある範囲のものすべてに例外なく該当すること、との字義があり、「多用途(versality)」には、融通が利くとの字義もあり、汎用性にも通ずる概念的広がりがあります。その意味で本論説の副題は示唆的です。
その汎用性と機動性の高さ、そして使える人が使えばきわめて心強い診断装置である超音波ですが、検者の能力に依存するという悩ましさもあるという課題に対して、山田先生は明快な処方箋を提示されております。超音波検査の「標準化」と「教育」というふたつの活動を日本超音波医学会地方会が継続的に行うことです。
12月23日を楽しみにしております。


函館渡辺病院 水関 清

A-04: 開催事務局から水関 清様に返信をいたしました。

水関 清先生:

貴重なコメントをいただき、誠にありがとうございます。
私が日本超音波医学会の機関誌「超音波医学」に掲載したeditorial『超音波診断の標準化と地域教育~普遍的だからこそ,多領域だからこそ~』で示しました普遍性についての3つの観点に対して、水関先生が意味合いをやや膨らませてお示しいただいた解釈は、まったくおっしゃる通りです。ひとつめは、「検査担当者間の垣根が低い」というよりも「検査担当者にとって検査の敷居が低い」ということだと思いますが、それに加えて、幅広く普及しており、初学者にも一定の成果を求めることのできる超音波診断には、正しい普及と教育に関わる多くの課題が存在することは間違いありません。これらの「課題」は多岐に、かつ、多層に亘っており、問題点を整理するだけで大変な作業が必要になるかもしれません。今回の第47回北海道地方会学術集会での領域横断シンポジウムでは「標準化」をキーワードとして、この標準化に「施設間(検者間でもよいですが)での相違」に関する標準化と「患者年代による相違」に関する標準化という意味合いを持たせています。他にも考えなければならない課題は多々あろうかとは思いますが、120分(予定)の長めのセッションとは言え限られた時間の中で行う討論ですので、このようなテーマに絞って皆様と一緒に対策を考えたいと存じます。
従いまして、シンポジウムのタイトルは、『超音波診断の施設間と年代間での標準化をどう進めるか?』といたしました。また、本シンポジウムの内容を機関誌「超音波医学」の誌上特集としてまとめ、2018年に掲載することにしておりますが、この特集のテーマは『施設と患者年代による超音波診断の相違:標準化への課題と対策』としております。これらのネーミングからテーマの絞り込みに関しましてご理解いただいたうえで、活発で実りある討論を実現すべく、皆様のご協力をお願い申し上げる次第です。
当日は、どうぞよろしくお願いいたします。

北海道大学循環病態内科学 山田 聡


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Q-04-2: 函館渡辺病院の水関 清様からコメントが届きました。

山田先生の熱意に触発された、「普遍性」を追及される当日の活発な議論を楽しみにしております。
しかしながら、「普遍(性)」と「標準(化)」、そして検査診断の奥深さに通ずる、「総合性」の議論は、おのずから立脚点が異なります。まず、「標準化」という問題を考える上で参考となるのは、「腹部超音波健診 判定マニュアル」です。診断装置の仕様や走査法、必要な記録断面、事後管理等、細かく記載された「実施基準」と、事後対応のあり方をふくむ「カテゴリーおよび判定区分」とからなる詳細なものですが、超音波検査に取組む手順が網羅されており、初学者から経験者まで、高い有用性があります。
その上で超音波診断の本質について、改めて考えてみたいと思います。丁寧な問診と詳細な身体所見の把握が総合診療医の武器、ひいては診断の基本で、超音波検査によって疾患の事後確率をより高めるという大原則に照らせば、系統的走査がその基本となります。系統的超音波検査の醍醐味は、型どおりの系統的な手順を踏んで、想定される罹患臓器以外も観察する中で、何らかの軽微な異常所見に気づいて診断の道すじを修正することで、想定外の疾患の診断にたどり着く可能性を、豊かに備えているという点にあります。こうしたことは、実臨床の中で少なからず経験することでもあります。問診や診察のみにひたすら固執するのではなく、超音波検査を追加して得られた画像を十分に咀嚼吟味し、背景に存在する病態を推理することではじめて、そうしたことが可能になります。では、こうした超音波診断の醍醐味を味わえるようになるための道すじは、どう学習していけばよいのでしょうか。諸先輩の経験談、学会報告、学習の場は身辺に豊富にありそうですが、そのカギは、問診と身体所見と超音波所見を、他の画像診断所見、さらには得られた病理組織所見などと詳細につき合せ、総合的に吟味することにあると思われます。その意味で、超音波学習における「いつでもどこでも、それぞれに求められる一定の水準を追求する、普遍性」と「診察と連続する検査などの一連の診断行為の中で、疾患の事後確率をあげるために追及する、総合性」とは、学習過程が異なるのではないかと考えています。
「多領域」にわたる学習課題を満足させる教育を、身近で継続的に供給する体制の構築の容易でないことは、経験がそれを裏付けますが、豊富な教育プログラムを備えた地方会を介在させることが、その確保にとって有用であろうこともまた、実感されます。その意味で今回山田先生が大会長を務められる日本超音波医学会第47回北海道地方会の特別セッション『ERで全身を診る~レクチャー&ライブデモ~』には、注目しております。この企画が、「診察と連続する検査などの一連の診断行為の中で、疾患の事後確率をあげるために追及する、総合性」を考える上で、多くの示唆をもたらすことを期待しております。


函館渡辺病院 水関 清

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A-04-2:開催事務局から水関 清様に返信をいたしました。


水関 清先生

貴重なご意見とご教示に感謝申し上げます。
「普遍性~標準化」と異なる問題として「総合性」があり、これらはどちらもきわめて重要であり、かつ、学習過程が異なるという点に大いに賛同いたします。「いつでもどこでも、それぞれに求められる一定の水準を追求する、普遍性」とは別次元の問題として重要な「診察と連続する検査などの一連の診断行為の中で、疾患の事後確率をあげるために追及する、総合性」というお話を先生から何度かうかがっていて、この問題は、私が一方で最近大きな興味を持って取り組み始めたPoint-of care超音波(POCUS、ポッカス)のなかで再認識できる重要事項に違いないと確信しておりました。ですから、先生が今回特別セッション『ERで全身を診る~レクチャー&ライブデモ~』に言及された時点で、我が意を得たりの感を抱きました。ありがとうございます。
POCUSに関する私見をごく簡単に記します。本年8月の第3回POC超音波研究会(東京)に初めて参加してきました。水関先生もよくご存知の谷口信行先生が代表をされている研究会で、これまでは年1回でしたが、今後は年に2回開催するとのことで、私もできるだけ参加していこうと考えております。今回は谷口先生ともPOCUSについていろいろとお話させていただきました。谷口先生のアドバイスをいただきながら、安曇野赤十字病院救急科の亀田 徹先生とご一緒に、機関誌「超音波医学」にPOCUSの我が国における現状と課題に関する特集を掲載すべく、企画を進めているところです。それと同時に、評論家ではない実務家を目指し、POCUSの普及と教育に関わる活動を行いたいと考えています。先生もご指摘のように学会地方会の果たすべき役割は大きいと思いますが、それのみならず、地域単位で普及と教育に携わるチームを構築できないか模索中です。よく「系統的超音波診断学 vs POCUS」の図式が言われます。POCUSの主体は救急集中治療領域の医師に違いありませんが、私どものように前者に傾倒しているものもPOCUS普及と教育に役立つリソースを皆持っているわけですから、皆が力を出し合ってチームを形成する必要があり、その活動は地域に根差すべきであると考えています。
ところで、水関先生にひとつ質問がございます。先生のおっしゃる「総合性」という言葉ですが、私は、総合診療学の考え方の中にそのような用語があるのかと考えて少しWEB検索してみましたが、見当たりません。この言葉は一般的に市民権を得ているものなのでしょうか?


北海道大学循環病態内科学 山田 聡

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Q-04-3:水関 清様から返信をいただきました。



山田 聡先生

お世話になります。
この場合の「総合性」は、日超専門医制度の専門医制度カリキュラムの11総合を念頭においたものです。すでに御高承のように、専門医制度の1-10の専門領域に並行してすべての専門医が必修の臨床超音波の基礎と、「総合」専門医の学ぶ総合というカリキュラムになっております。たとえば、1臨床超音波の基礎、2「総合」専門医とを腎泌尿器で比べてみますと、1と2の差は、求められる学習領域の広さと深さの差と思われます。


閑話休題。
新専門医の制度では、内科と総合診療というふたつの専門医が設けられるとうかがいました。新内科専門医については、内科の疾患に関して、かなり幅広く診ることを求められ、総合診療専門医については、今の家庭医療専門医を土台にして議論が進んでいるともうかがいました。私たちの時代には、総合診療、家庭医療、プライマリケアが並列しており、それぞれの会員の意見が輻湊した議論が行われておりました。当時は、総合診療の得意はEBM、家庭医療は「生物心理社会モデルを用いて問題を解決する能力」「施設外や他職種と連携」をやったポートフォリオを出しなさいというような非常にユニークなことをすることで、地域での有機的な活動につながる、といったところにその特徴がありました。
この歴史に比較の視点を置けば、超音波専門医の総合領域のカリキュラムは、それぞれの専門領域の縮小版という趣きで、専門領域とは、これまた、学ぶ範囲と深さの差にあるようです。超音波の総合性は、検査範囲の広さはもちろんですが、「診察と連続する検査などの一連の診断行為の中で、疾患の事後確率をあげるために追及する」という、どちらかというとEBMの延長で、診察と検査から病態を推論する場合に、領域を問わず組み合せると有効な検査である点にあると思っております。 恩師の伊東先生は、よくこう仰っておられました。見えるものは、なんでも追求するといい。それを手掛かりにして、意外な疾患の存在に気づいて、患者さんのためになることがあるから、と。その意味での「総合性」という言葉でございました。繰り返しになりますが、一連の診断行為の中で病態を推論する場合に、領域を問わない知識の組合せを駆使することで、時には遠回りになったりすることもありますが、超音波検査という手技はきわめて有効であるという体験は、きっと皆さんお持ちのことと思われます。もちろん、CTなどとは異なり、検査時になんらかの所見に気づき、それ(ら)が疾患を推論する直接ならびに間接所見であることに気づくことこそ、超音波検査の醍醐味であるとの思いのもとで、日々修練したいと思っております。
9月18日台風18号接近の日に


函館渡辺病院 水関 清





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